民間有識者でつくる「人口戦略会議」は4月24日、全国の市区町村のうち4割超にあたる744自治体が「消滅する可能性がある」との報告書を発表した(令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート―新たな地域別将来推計人口から分かる自治体の実情と課題―)。
10年前にも同じような提言をして地方創生政策に結びついていった。あるいは、危機感をあおってまた、市町村合併等に誘導しようと言うことなのだろうか。人口に関しては、出生率対策、地方での魅力的な産業の発展などいくつも政策がある。そのような中で、今回も、気になるのは、外国人の扱いである。記述の中には、前回より消滅可能性都市の数は減ったなどと記載されているが、これは、ほとんど流入外国人によるものだ。
(出典)人口問題研究所『人口推計』、結果の概要、P2
日本の総人口は2023年に前年比減595千人である。それに対して、外国人の社会増は240千人である。もし、外国人の社会増がなければ、日本の総人口は835千人の減となる。これは、とても大きな数値である。「人口戦略会議」の報告では、外国人は2100年には人口の10%程度にまで上昇するという人口問題研究所の推計をそのまま使っているだけである。この数値は、毎年20万人近くの外国人増加と言うことになり、かなり大きな数値である(日本の将来推計人口(令和5 年推計)も参照)。にもかかわらず、「(補充)移民政策」は取らないとし、労働力としての外国人受け入れのみ行うとしている。「(補充)移民政策」の意味が今ひとつ不明であるが、人口減少を補って定常状態に持って行く(毎年100万人近い外国人の社会増)のは不可能であることは誰の目にも明らかだ。移民も枠を決めて入れていかないと社会的混乱を招くのはイギリスなどの例を見てもわかる。定住した外国人の出生率はどうなるのだろうか。外国人の居住地分布はどうなるのだろうか。そういった分析が薄く、日本人だけの閉鎖モデルで一生懸命細かい分析をしている。提言では、外国人対策の司令塔を作るとしているが、本格的に移民、外国人居住者に対する政策に着手すべきだろう。また、日本は働き先として選ばれる国だとの認識だが、賃金水準からして、さほど魅力のある国では既になくなっている。今後、中国、韓国、台湾等との間で外国人労働者の取り合いになるのではないだろうか。よほど腰を据え、後手に回らないように、外国人対策に早急に着手すべきだ。また、日本全国で日本人の人口が毎年80万人も減少している中で、地方への移住などといったところでごく小さなパイの取り合いを地域同士でしているしかすぎないと思われるが、どうだろう。