公共政策研究室

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横断歩道の高齢者と日本の現状

大阪市内で、半日車を運転しただけで、3件もの危険な光景を見かけた。お年寄りで歩行速度がきわめて遅い方が歩行者信号が青のうちに道路を渡りきれないのである。3件共に車が止まって渡りきるのを待っていたので事なきを得たが、いつ事故が起こってもおかしくない情景だった。

 

そのうち1件は、女性が走り出てきて、手を上げて車を止めてお婆さんを渡り切らせた。ああいう状況では、一つ間違えると車に跳ねられる危険性がある。非常に勇気ある行動で、自分が横断歩道でそういう状況を見かけてとっさに同じ行動をとれるかどうか。

 

神戸 利文 , 上村 理絵 (2021)『道路を渡れない老人たち』アスコム によると、日本の歩行者信号は、1m/秒で歩くことを前提に作られているが、この速度で歩けない人が日本には300万人もいるという。また、筆者らは、介護保険という制度があるわけだから、それを使い倒すということの認識が欠けているともいう。

 

日本の高齢化がさらに進行していく中で、こういった光景はさらに増加していくのではないか。一つの方法としては、信号の設定を変えていくことだが、そうすると交通渋滞の発生など、経済的なマイナスが出てくる。AIの進化によってカメラがそういう光景を捉えると信号が自動的に青の状態を長引かせることが将来できるかも知れない。

 

日本の社会の歪みを見て考えさせられたと同時に、女性の勇気ある行動を見て、何とはない、さわやかな印象が残った。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/886c6689d233d765948e18c046c16565338a92ba?page=3