公共政策研究室

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子どもを取り巻く環境

兵庫県にある私の実家の近くに阪急西宮北口駅がある。ここは、中学受験、高校受験の進学塾がひしめいている塾銀座と言われる。特に、阪神間では、中高一貫の私学に進学する傾向が強い。夏休みに入っているが、小学生達は塾の夏期講習に余念がない。私は、阪急電車に乗って塾通いの小学生達とよく出会う。今日も、「長崎や広島がどうのこうの」と話し合っているので、耳を傾けていると、「どっちが大きいの」「どっちが先」といった会話である。多分、原爆投下が社会の試験問題の守備範囲に入っているのだろう。

一方、私は、静岡で県の子育て支援NPO事業の審査などに関わっているが、子どもの居場所づくりが課題になっている。今の日本では、お金のある子は塾が居場所になっており、お金のない子は家で一日ゲームで時間をつぶしているそうである。

各種調査でも、世界的に見て、日本における子どもの貧困とその格差が問題になっている。

知識だけを詰め込んで受験戦争に勝ち残った子どもが社会の階段を上がっていき、そうでない子どもは貧困の連鎖を起こす危険性が極めて高い。また、日本の少子化問題は、子ども手当や児童手当などの断片的、小出し政策で解決するものではとうていなく、大人の雇用、教育費も含めた社会的排除に関する総合的で分厚い政策がないとどうしようもないだろう。

今年も、終戦記念日が近づいてくる。子ども達の会話を聞きながら、ふと上のようなことを考えた。